050: 初心こそ原点
2011.11.10
※著書「心のしずく」より ~アーカイブ100回連載シリーズ~
※この記事は、平成八年~平成十六年にかけて執筆されたものです。
人間と言うものは実に浅ましいものだ。
初めの一、二回は他人様から頂く配慮や厚情に対して、そのときは心底より有り難い気持で一杯であったはずなのだが、いつしか回を重ねるうちに、してもらって当たり前、さらに身の程知らずにも不平不満を募らせる。初めのころの感謝や謙虚さが微塵もなくなる。自戒をこめて、よくよく気をつけよう。
さて今春の新入社員の諸君、元気でやっていることと思う。元気の素はとにかく元気にやることだ。空元気でいると元気になる。自信も空自信から始めればいい。そのうちに板について本物の自信がついてくる。これから先は長い。初心(何故この会社に入ったのか、将来どうなりたいのか)を忘れずに頑張って欲しい。初心こそ自分のよって立つ原点だ。
仕事に向かうときには「何をする」の前に「何の為にするか」が起点にならなければならない。そして仕事の実力というのは「何が出来る」ではなく「何が出来たか」である。仕事はまさに闘いだ。その主たる相手は自分自身だ。逃げたら永久に勝てない。いかなる状況においても、自分と真正面に向き合ってぶつかっていくことだ。
高い目標ほど難易度が高くなるだけに、その分精神の足腰も鍛えられ強くなっていく。目標への挑戦は自分への挑戦だ。挑戦なき者に挫折もないし栄光もない。挑戦するからこそ、時に躓いたり、悩んだりするのだ。それは進歩向上を図るためには避けることの出来ない道程あり、またそれこそ努力をしている証そのものだ。
失敗を恐れず、見事に負けたらいい。間違っても見逃しの三振だけはするな。フルスイングの三振は次に期待できる価値がある。その前向きな姿勢こそ、明日の自分をつくっていく原動力なのだ。若武者の最大の取り柄は、さわやかさと清々しさだ。
さあさあ、自分を信じないで誰が自分を信じてくれるというのか。先ず自分を信じよう。自分の可能性と創造性を信じよう。現在の自分の努力が明日の自分をつくり上げていくことを信じよう。
それから、もう一つ。車の運転に気をつけよう。ちょっとした不注意と油断が一生不幸を背負い続けることになる。結局車を運転するということは、自分を運転することに他ならない。
平成十二年四月三十日