思うままに No.285

2019.08.31

エッセー「思うままに」

   

※エッセー「思うままに」より ~毎月更新~

 

 前向きな人は異口同音に「もっと成長したい」「いい仕事をしたい」「いい人生にしたい」「もっと信頼を得たい」「存在感のある人になりたい」等々と口を揃える。これ誠に望ましく大いに結構なことだが、そのようになるには容易なことではない。それ相応の念いと精進が要る。本気になり、本腰を入れてかからないとただの願望に終る。これらを叶えるには何よりも先ず自己啓発を実践し弛まない努力の積み重ねが不可欠だ。

 

 自己成長なくして諸々の願望は成就しない。自己成長を図るには必須の要件がある。挑む道は平坦ではなく険しい道を選ぶことだ。特に若いうちは。これ生半可な者には到底できるものではない。敢えて楽ではなく苦を承知して、できる限り重荷を背負うようにするところに成長の土台となる精進の足腰が鍛えられる。また努力の甲斐なく、たとえ結果が不調に終ろうとも後々には必ずやボディーブローのように効いてくる。

 

 努力の成果は時を越え、形を変えて報われる。横着と諦めが大敵、あの時の頑張りがあったからこそ現在があると実感することになる。いかなる努力も決して無駄・無用にはならないのだ。

 

 目標を設定するときは具体的かつ高いほどいい。その分だけカベは高くなるが、このカベこそ前向きな人たちが望む、またとない成長の肥しとなる。平易よりも困難が人を育てる。困難と思うとストレスになるが鍛錬と思えば救いになる。

 

 さて企業の使命は社会から必要とされ、信頼され、期待されることにある。同様に企業内の個にも求められる。また業績は社会への貢献活動による評価の結果を表わす。世のため、人のため、そしてひいては自分のために役立つべく実践が企業の存在と存続に直結する。これを創っていくのは総て前向きな人たちだ。個の成長が組織の活力を生み業績に連動する。

 

 そもそも企業と顧客は対等だ。どちらが上でも下でもない。作ってよかった、売ってよかった、買ってよかったと互いに喜びを分つ関係だ。企業は理念と活動に使命感と誇りをもち、一方顧客は吟味、要望することによってより高い満足を求める。

 

 企業にとっては顧客の声に耳を傾け、よりサービスや商品の品質向上を図っていく上では顧客とは互恵関係にあり大切なパートナーだ。このことは、企業は矜持、自負を引き換えに供給者としての良心と責任をもつことを意味する。広く社会からの信頼をもとに企業価値と生活価値の向上を目指していくことが、そして同時に人財となるべく個々の成長が自ずと社会貢献につながる。