思うままに No.220
2014.04.01
※エッセー「思うままに」より ~毎月更新~
数々の感動と感激の嵐を巻き起こした、雪と氷の祭典ソチ冬季五輪が解かさんばかりの熱と温、汗と涙のうちに終えた。限界まで果敢に挑戦する選手たちの活躍する姿と、ときには敵に塩をおくるスポーツマンシップにはいつもながら心を打たれる、勝負は時の運、勝ち負けはあるが勝者の笑顔はむろんのこと敗者の笑顔もまた清々しいものでした。そこには全力を出し尽くした者のみが味わうことのできる心の様相が鮮やかに見てとれる。
このスポーツの祭典に出場した各国の選手たちには共通するキーワードがある。〈感謝、あきらめない、向上心、挑戦心、誰にも負けない努力〉の五つの言葉に集約されると言っていい。とりわけ最年長の葛西選手には心より敬意を表したい。これで終わりではなくこれからが始まりだ。四年後の平昌を目指し金メダルを獲りに行くとのこと、誰しも思うが並大抵のことではない。その飽くなき挑戦心と向上心には大きな勇気と激励をもらった。また逆境を見事に乗り越えて奇跡とも言える六位の入賞を果たした浅田選手にはその美技もさることながら〈恩返し〉の一言で表わされる人間としての素晴らしさにはひときわ印象深く多くの人を魅了した。
さて本日より新しい期がスタートする。よきスタートはよきゴールを決める。初めに向かうとき何の為にという目的及び目標の実行計画を明確にしておかなければならない。目標は目的に従う。目的の実現は各々の目標の達成と進捗によって近づく。目標達成の唯一の方法はできるまでやり続けることに尽きる。そのときの大敵は外にではなく内にある。終始自分との闘いだ。負けてたまるかの強い思いだ。
まあできなくても仕方がないというあきらめは禁物、自己と組織への裏切りになる。〈これでもか、これでもか〉と前進し続ける者には勝利の女神は微笑まざるを得ない。〈これでもか、これでもか〉とやり続けるところにこの力がいかに強く働くかを身を持って分かる。そうして自信と地力、誇りと希望が生まれる。玉磨かざれば光ることなし、稼ぐに追いつく貧乏なし、とことんやり続ける意志と意地がものごとを可能にしてくれる。
次にチームワークだ。いかに個を高めてその総和をもってチーム力を引き上げていくかだ。いかなる仕事も独りでは成し遂げられない。一人ひとりができ得ることを最大限に発揮してこそ相乗効果を生み出す。フォアザチームの原点は、他者への慈しみと慮りだ。全員が一致団結して達成するチームの喜びは個の喜びをはるかに越えて勝る。
終わりに苦労を重ねたが、頑張ったおかげで今の自分があるのだというひとしおの感慨と感謝の気持ちが後になってふつふつと湧き出てくるようになるといい。五輪選手だって我々と同じ人間ではないか。何が違うかって向上心、挑戦心、努力の差ではないか、我々だって思い続ければ、やり続ければ人生のメダリストになれる。