思うままに No.219

2014.02.28

エッセー「思うままに」

※エッセー「思うままに」より ~毎月更新~



 何人も独りでは生きられない。日々自然界より計り知れない有形無形の恩恵を享受し、加えて多くの人たちより陰に陽に支えられ助けられて生かされ生きている。それを思うと自ずとおかげさまの念が湧いてくる。
 日常生活をおくる上で私たちは衣食住のほとんどのことは自前では作れないし手にすることもできない。互いの生活は多種多様、仕事の連係によって成り立つ。
 そもそも仕事とは生きていく上で人生をより豊かに幸せにしていくことを目的に存在する。それぞれの仕事は人と人をつなぎ、世界を巡り、仕事が仕事をつくり相互に支え補い合う。いかなる仕事も悪業虚業を除いて世の為人の為に貢献する使命と役割を担う。仕事にその職務に貴賤の別なく各々に役割が有り有用にして尊く誇り高いものだ。
 誇りは自分の関わる仕事がその働きがお客様をはじめ周りの人々に何らかの形で役に立っていることや喜んでもらっている姿をいつも念頭に描きながら推し進めていくことで実感する。誇りが生きがいをつくり仕事も人生も充実させる。
 社の内外を問わずこれを示す最も身近な対象は日々の生活を共にする家族だ。とりわけ子供たちだ。自分の仕事が社会に役立っているかを子供たちに胸を張って誇れるかどうか。彼らは親の言動には敏感だ。純粋で確かな目をもち感受性も強い。良くも悪くも親のふるまいを観て学び育つ。
 この子にしてこの親ありで親の影響と責任は極めて大きい。学校の先生の比ではない。親心として子供たちにこうあって欲しいと乞い願うその未来はひとえに今日の親のあり様次第で決まる。親は子の鑑、親の方こそしっかりし、よく学び向上心を示していくことが肝要だ。日本の将来は何よりも先に子育てをすべく親に託されている。その意味で人生と生活の糧を得るべく仕事は自己を高めていく志事であり師となって教えてくれる師事とも言える。
 過日【いつやるの、今でしょ】で昨年流行語大賞になった東進ハイスクールの講師 林 修さんの体験談には同感するものがあった。
「やりたくない仕事も一所懸命にやる。そのうちにやりたい仕事が回ってくる」「現実は人が仕事を選ぶというより仕事が人を選ぶのだ」「もともと仕事にアマはない。仕事はプロでなければならない」「プロはたとい嫌いな仕事であっても結果を出す。百点満点は当たり前、九十九点ではダメ」「強い目標意識をもち続けそれに向かって実行していく意志の力がモチベーションを高める。目標を設定するとき遠いものと近いものと両建てにする」「低い目標をもつことはすでに初めから失敗であり罪なことだ」「不平不満は害あるも益なし 自恃=誇りの衰弱であり意志の欠乏である」