思うままに No.221

2014.04.30

エッセー「思うままに」

※エッセー「思うままに」より ~毎月更新~

 過日、目の当たりに交通事故の瞬間を見た。交差点の横断歩道を渡ろうとする二人連れの女子中学生の一人が事故に遭う。ドスーンとにぶい衝撃音をたてて5m。軽自動車に撥ね飛ばされる。直ぐさま救急車を手配し、二次災害が起きないよう道路をガードする。

 いまかいまかと救急車を待つ時間が長い。ようやく救急車、パトカーが到着してひと息つく。頭部をかなり強く打っているのが心配である。大事に至らないことを切に祈るばかりである。

 さて日々運転すると肝を冷やすようなことがままある。ひとつ間違えると大変なことになる危険と常に隣り合わせにいることを痛感する。不注意、横着、油断は一瞬のうちに命取りになる。ほんの一秒が後の長き人生を台無しにしてしまう。

 常々怒り心頭腹立たしく思うところだが、事故を憎むべき事件へと変える轢き逃げの犯罪が後を絶たない。事件を引き起こした犯罪者たちのきまり文句は卑劣にも「怖くなり逃げてしまった」と。被害者を放置して逃げ去るとはそれでも人間か。

 直ぐさま救助についたら一命をとりとめることができただろうにと悔やまれてならない。いかなる理由があろうとも人としてのあるまじき行為は断じて許されるものではない。これらの悲報を聞くたびに腹わたが煮えくり返る。

 そこでだ。これを他人事ではなく、自分にも起き得ることを常に想定しておこう。不幸にも事故を起こしたら、先ずなすべきことは人命救助を第一に日頃より心構えをしておくことだ。鬼畜になり下がらないためにも重ねて言いたい。覆水盆にかえらずで起こしてしまったことは元には戻らないが大事なことはその後の人としてなすべき行動が問われるのだ。

 とりわけ新入社員の諸君に告げておく、初めて廻る区域、お客様宅探し、慣れない仕事の中くれぐれも車の運転には気を付けて欲しい。

 車は一つ間違えると恐ろしい凶器に変わる。スピードは控え目に脇見しないよう安全運転を心懸けよう。特に運転中の携帯電話は不可だ。車輌はいつも清掃し、きれいにしておくことが事故を起きにくくする。加えて車輌に限らず商品、備品等々も整理整頓に努めよう。

 またわれわれはふれあい業によるお客様相手の商売だ。好感をもって頂けるよう身だしなみに気を配ろう。清潔な身だしなみ、気持ちのいいあいさつ、そして笑顔は営業の基本中の基本だ。

 当り前のことが当り前のようにできるようになるには初めは努めて意識してやり続けることだ。これが板について自然とできるようになる。

 とどのつまり車の運転も、仕事の運転も、人生の運転も全く同じことだ。