思うままに No.192

2011.11.30

エッセー「思うままに」

※エッセー「思うままに」より ~毎月更新~

 『日本は、成熟社会で市場は飽和し、成長力が乏しくなったといわれます。そんなことはありません。消費者の嗜好は絶えず変化しています。だからおにぎり一つとっても毎年のように梅干しの味の改良をし続けています。そうしなければお客様に飽きられてしまうからです。
また生活者のライフステージが変わることでも新しいニーズが生まれます。人間は常に新しい物やサービスを求め続けるのです。それに対応し続けていれば事業が行き詰まることはありません。最近ではスマートフォンが典型でしょう。今の日本だけを見ていると閉塞感の漂う姿に思われますが、過去から眺めてみれば社会がいかに発展したかがよくわかるはずです。
私たちが今すべきことは将来に対する希望を描き、それを実現するための道筋を作ることでしょう。現在の惰性を保つだけなら行き詰まるのは明らかです。新しいことに挑戦しなければいけません。
そこで欠かせないのがリーダーシップの存在です。リーダーは新しい発想を出し続け挑戦するきっかけを組織の中に埋め込む役割を担うのです。自ら決断し周囲の人間に変革の必要性を気付かせ背中を押し自らも挑戦しなければなりません。そうすることでようやく組織もついてくるのです。
閉塞感に覆われる中で新しさを打ち出すことがチャレンジであり、結果として新しい需要を作ります。自由競争の社会で人間が生活していくなかでまだ市場が飽和することはあり得ません。競争社会には常に新しいニーズが誕生する機能が備わっているのです。もし飽和だと言うなら新しい市場をこじ開けてでも世の中に提供していくのが企業の存在価値のはずです。
時代と共に便利の意味も価値も変わります。消費者や地域社会にとってためになるものは何かを常に模索し続ける流通業はお客様の喜ぶ姿をじかに見ることができる産業です。それが醍醐味です。』
 これはセブン&アイ・ホールディングス会長鈴木敏文氏の言葉です。弊社も同じ流通業、全く同感するものであります。改めて企業の存在意義、使命と役割を再認識するものです。この上ない希望と勇気をもらいました。