思うままに No.245

2016.04.30

エッセー「思うままに」

   

※エッセー「思うままに」より ~毎月更新~

 世の中が目まぐるしく変わる。世の常とは言え、かつての勝者が敗者にとその変化のスピードが速い。ぼやぼやしていると置いてきぼりにされる。気がついたら瀕死の状態になりかねない。
 そんな中で企業も個もマクロ、ミクロの変化にいかに上手く対応し存続成長していくかは永遠に続くテーマだ。
 そこで諸々の外なる変化に対応するには常にアンテナを高く張り巡らせてその動向を注視していくことが不可欠であるが、その前に何よりも大事なことは内なる自分を変え続けていくことに尽きる。内なる自分を変えずして何が変化への対応か。
 優勝劣敗の経済社会において敗者の常套句はきまってその原因を他のせいにすりかえる。
 <勝ちに勝ちの不思議はあるが負けに負けの不思議なし>で、とどのつまりは敗者は負けるべくして負けるのだ。その原因は自分にある。
 「あの人が、会社が変わらないからオレはえらい目にあっている」「オレは変えるつもりであるが、その前に他が変わらないから仕方がないのだ」「オレが満ち足りないのは周りのせいだ。オレに落ち度はない」
 断言しておく。他のせいにするようなさもしい根性はさっさと捨てよう。
 間違えてはならない。他に原因を求めるのではなくて自分に向けよ。そうして他はどうであれ先ず自分の方を変えよ。たとえ所を変え時を変えても所詮自分を変えなければ何も変わらないし前に進んだ例もない。自分が変わるから自ずと周りも変わる。それは周りに対する自分自身の見方、考え方が変わるからだ。
 さて競合する市場経済のほんとうの相手は同業他社ではない。その相手は変化し続ける市場だ。顧客づくりや市場を創造していくには常にお客さまと共にあり、親身になってお客さまの代弁者としてのスタンスを持たなければお客さまの支持を得られない。
 お客さまの欲望、要望に真摯に対応し、いち速くタイムリーに手を打ってこそ信頼とご愛顧を頂ける。
 これまでも、これからも企業と顧客との関係は互いに切磋琢磨して商品サービスの価値向上を図る愛すべきコンペティターと同時にパートナーだ。
 今なお現役選手として7大会連続でオリンピックに出場する、スキージャンパーのレジェンド葛西さんの言葉は傾聴に値する。「変化する状況に応じて自分自身も絶えず変化しつづけることで大きく成長できる」「近年頻繁に毎年変わるルールに対応するのが楽しい」と。
 内なる変化こそが外なる変化に適応し、進化成長を促進させる。
 変えよ、変えよ、変え続けよ、自分を。自分の為に、人の為に。