075: 人生は口ぐせ通りに設計される
2012.11.25
※著書「心のしずく」より ~アーカイブ100回連載シリーズ~
※この記事は、平成八年~平成十六年にかけて執筆されたものです。
このところ役員面接で学生諸君の口から出た、印象深いものがいくつかあった。
「お客さまの要望には決してNOを言わない」
「先ず自分ができる最大限のベストを尽くす」
「初めにお客さまありき、とにもかくにもお役に立てるように誠心誠意努める。結果的に自然と数字は後からついてくる。数字は正直なもの」
「お客さまの立場にたつというのはお客さまと一体になることだ。だからこそお客さまと共に喜びと感動を共有できる。」
いろいろのバイト経験から学んだのであろうが、商いの真髄を的確についている。実に頼もしい限りだ。
さて世の中には何をやらせても、うまくいく人とそうでない人がいる。この差は何故できるのか、原因のまた原因をつきつめていくと、その応えは極めて当り前でシンプルだ。
うまくいく人は必ずうまくいくと思い込んでことに取りかかるのに対して、うまくいかない人は初めから、どうせできっこないと決めこんでしまっている。うまくいく人は積極的、肯定的で、可能な限りのあらゆる手を尽くして準備万端を整え、たえず先手を打っていく。
うまくいかない人は消極的、否定的で、出たとこ勝負で手は抜くは、後手に回るわで、これを改めない限りは、たとえどんなに条件がそろっていても、ことごとくうまくいかない。
このように考えてみると、能力や技術をうんぬんする前に、考え方、精神のもち方ひとつで人生が変わってしまうと思うと空恐しいことだ。また、どんな人でも普段、何気なく出す口ぐせがある。たかが口ぐせと思うなかれで、人生に多大な影響を及ぼすそうだ。それどころか驚くなかれ、人間は口ぐせ通りに設計された人生を歩むらしい。
どうやらその秘密は人間の脳にあって、仮に梅干を思い浮かべれば自然に唾液が出るのと同じしくみだ。暇がない、お金がない、能力がないと言った口ぐせを言い続ければ心と体は自然と反応し、そうなるように機能する。逆もまた然りだ。
だから夢や希望を実現するには、このように働く脳のしくみを大いに活用して、自分にとって良いと思われる口ぐせをつくり、いつも念仏のように唱え続けるといいらしい。しかもこれはいつでもどこでも誰でも無料でできるし、他人に迷惑をかけるものでもない。
このことに早く気がつく人とそうでない人との差は、この先大きい。
平成十四年六月三十日