071: 時はコストだ、利益だ
2012.09.25
※著書「心のしずく」より ~アーカイブ100回連載シリーズ~
※この記事は、平成八年~平成十六年にかけて執筆されたものです。
「時は金なり」時はコストだ、利益だ。
時はすべての人に公平に与えられるが、その使い方にはこれほど不公平なものはない。これから限られた時間をいかに効率よく上手く活かすかがビジネスの世界では大事なところだが、そのなかで真っ先に要求されるのがスピードだ。所用時間をいかに短かくして成果をあげることができるか、またお客さまの要望にいかに即応できるか、特にクレームは対応が遅くなるほどとり返しのつかない、不利の状況をつくる。さらに約束事にいたってはどんな小さなことでも必ず守らなければならない。
誰しも一秒たりとも時間を生産することはできないが、やり方次第で時間の価値を創造し、高めることはできる。何かにつけて、一事が万事、できる人は素早い。できない人はノロイ。毎日の営業時間の工程をみると、朝の出発時間、お客様宅での滞留時間、移動の時間、帰社してからの時間等、その使い方には驚くほどのムリ・ムラ・ムダがあるようだ。
時間を意識し、段取りをきちっとやっておけばスピーディーにできるのだが時間はただではない、有料だ。正真正銘のコストだ。利益だ。さらに恐いことは、自分のみのロスでは済まされず、周りの人にもいろいろと関わってくることだ。ダラダラを追放せよ。スピードを上げよ。
ところで近頃、世の中たかをくくっているやつ、軽挙妄動のやつが少なくない。これくらいなら分からないであろう、見逃してくれるであろうと。また、こうしたらどういうことになるのか、周りにどれくらいの迷惑がかかるのかを考えていない。そのうちに、良心につまらない負の荷物を背負いこんでいき、気がついたときには時すでに遅しで、その過重で足腰が立たなくなる。自業自得といってしまえばそれまでだが、そうさせている責任は周りにも少なからずある。
こういうやつは共通して、浅い・甘い・軽いと三拍子揃っている。見て見ぬふりや、放ったらかしのなりゆきまかせは厳禁だ。日頃より、言動に注意を払うと同時に、堂々と押し付けでいいから、折りあるごとに、信用とは・誠意とは・職場とは・チームワークとは・お金とは・商品とは・お客様とは等々、ものの考え方について、口やかましく正していく指導をしていかなければならない。
たいへん骨の折れることだが、いったん矯正すると、見違えるほどの人に変っていく。この楽しみは何とも言いようのない大きなものだ。
平成十四年二月二十八日