思うままに No.181
2011.01.01
※エッセー「思うままに」より ~毎月更新~
明けましておめでとうございます。
本年は卯の年、ピョンピョンと威勢よく飛び跳ねて、大飛躍といきたいところだが、先ずは亀に見習って、方針 目標 計画に沿って一歩一歩着実に前進して行こう。引き続き厳しい年になるが、いかなるときも希望をもって皆と力を合わせ激動の荒波を乗り切っていかなければと決意を新たにするところだ。
一年の計は元旦にありで、物事はすべて始めが大事だ。そして続ける力だ。あきらめず、逃げず、甘えず、決めた事はできるまで徹頭徹尾、やり抜いて行こう。他のせいにしない。言い訳は要らない。それなくして今年も来年もない。
過日、澄みわたる青空に響く、子供たちの元気な声に誘われて小学校の運動場に足が向いた。ここで練習にいそしむサッカー少年から「率先垂範」の何たるかを改めて教えてもらった。
5・6年生位だろうか、20人の少年たちのなかでひと際目を引くその少年の一挙手一投足に終始目を釘づけにさせられる。チームの仲間たちにタイムリーに積極的に声をかけ続け、せわしなく動き回る。静止したときには、チーム全体の動きにじっと目を追う。一つも無駄な動きがない。おそらくこの子はキャプテンだろうと思っていたら案の定。
休けい時間に近寄って話しかけてみた。「君キャプテンかい」と。「ハイ」と元気はつらつの返事が返ってきた。「よく動くし、よく声を出すねぇ、すごいねぇ、何でなの」と、すかさず「ぼくキャプテンだから、キャプテンの仕事だから」、続けて「キャプテンが先に動かないと、手本を見せないと皆がついてこないから」と。
「ああそうかなるほどね、すごいなぁ、だけどチームを盛り上げるためにはまだ他のやり方もあるのではないの」といじわる質問をしてみた。「ぼくはこのやり方が一番やり易いし、一番うまくいくから」ときっぱり。ついでに「将来の夢は」と尋ねたら、はにかみながらもしっかりとした口調で「Jリーガーになって世界のチームと戦いたい」と目を輝かせた。しばらくたって練習が終わると彼は真っ先にグラウンドに駆けて後片付けにもくもくと励んでいる。その小さな姿にはリーダーとしての風格さえ漂わせている。この少年は率先垂範の何たるかを身をもって実践している。
自分もやるから皆も一緒にやろう。チームの誰よりも真っ先に自分がやらなければ誰もついてこない。言葉よりも行動が一番の説得力、統率力になることをこの少年は体で分かっているのだ。この先、Jリーガーになり、目指すはひとかどの人物になることだろう。
この少年に期待と感動を覚えながら、嬉しい思いで運動場を後にした。