029: 業績と人づくりは比例する

2010.12.25

著書「心のしずく」より

※著書「心のしずく」より ~アーカイブ100回連載シリーズ~
※この記事は、平成八年~平成十六年にかけて執筆されたものです。

 古くて新しいテーマであるが、過日、様々な業種の販売会社の方々と議論した。テーマは「能力や資質にはそんなに差がないのに何故、個々の営業成績に大差ができるのか」である。要旨は以下の通りである。
 おしなべて各社の商品は予想以上に好評であるが、商品の良さだけでは取引の継続や新規の顧客の獲得にはつながらない。やはり何と言っても営業社員に大きな問題がある。
 お客様が評価する営業社員とはどういう人なのか。
●元気はつらつ、身なりは小ざっぱりしていて礼儀正しい
●購入後も親身になってよく相談にのってくれる
 さらに分析すると、
●業績の良い社員は、商品に対する基礎知識や基本動作が身についている
●「お客様第一主義」の理解と実践
・お客様のご用命には迅速に対応する
・お客様のためには労力を惜しまない
・マニュアルを基本にして粘り強い努力と工夫を積み重ね、その独自の知恵を出す
・仕事に対する強い誇りと使命感をもち、商品に対する絶対の自身をもち、使ってもらうことが必ずお客様のためになるという信念をもっている
 もう一つのテーマは「何故、所長の力量によって営業所の業績に大きな差ができるのか」である。業績の良い社員は一様にこう考えている。
●所長に営業の面白さや奥の深さを教えられた
●所長の粘り強い指導のおかげでいまの自分がある
 反対に伸び悩んでいる社員は、「所長は自分の業績のことしか考えていないのではないか」という不信感を抱いている。業績の良い営業所では、所内の細やかな指導体制とその役割分担が充実しており、同行による現場教育が実施され、忙しいときでも先輩が後輩を指導する。また、同僚同志でいろいろな体験を話し合い、お互いに情報交換をするといったことが日常的に行われている。
 従って、こうした営業所では、営業の基本動作や商品知識がよく身についており、配属された新入社員の成長も早い。
 結論。
「業界・業種を問わず、営業の原理原則は皆、同じですね」
「いいセールスは何を扱っても売れますね」
「いい所長はいい業績をつくり、そして同時にいい部下をつくりますね」
 異口同音に皆さんの答えでした。

平成十年六月一日