思うままに No.176
2010.08.02
※エッセー「思うままに」より ~毎月更新~
過日は東京での出来事。感動と落胆、対照的な両極のサービスを受けた。感動のほうは後に知ったことだが、大阪ではいま超繁盛の居酒屋「つるとんたん」さんの六本木店。
近ごろは情けないことに、もの忘れ、うっかりミスの日常茶飯事だが、この日はうまい酒がすすんだこともあって不注意にも大事な手帳を置き忘れてしまった。
品川駅から最終電車にて宿泊先の新横浜のホテルへ向かう移動中にそのことに気がついた。ホテルから直ぐさま店に電話を入れバイク便にて届けてもらうようお願いをする。早速手配をして頂き、深夜に無事手帳を受け取る。部屋まで届けて頂いた颯爽としたバイク便の方にお礼を言い「料金はいくらですか」と尋ねたところ計算書を示して「1万2千円です。料金は既にお店の方から頂いています」とのこと。ええ!!とびっくり仰天。1、2千円のことなら甘えるところだがなんせ大金である。飲み代よりも高いのだ。
親切、サービスにも程があると思い、その場で店に電話を入れる。店長の龍尾さんが出てこられてこうおっしゃるのだ。「山田さんどうぞお気にしないで下さい。もともとお客さまの忘れ物をすぐに気がつかなかった私どもに非があります。ぬかっておりました。この度はたいへんご迷惑、ご心配をおかけしまして申し訳ございませんでした。今後はこのようなことのないよう、今一度教育を徹底します。いつかまた上京のおりがございましたなら是非ともお立ち寄り下さい」と。
想定外の対応にとっさに言葉が出ず、受話器を手に平身低頭。しばらくの間、感動・感激・感謝の念に浸る。
一方、落胆のほうはホテルの対応である。ロビーに飲料の自動販売機があることは承知していたが、シャワーを浴びたことだし、また着替えて買いに降りていくのもおっくうと思いフロントに電話でペットボトルを部屋に届けてもらうようお願いする。返事は15分後にお持ちしますとのことであったが、待てど暮らせど小一時間音沙汰なし、催促をしたら遅くなって申し訳ございませんとのこと、この間何らかの対応が出来るはずなのに。因みにこのホテルは有名な某ホテルグループである。
この夜は嬉しさと苦々しさが交差し興奮さめやらず、寝つきの悪かったこと。それにしても「つるとんたん」さんにはまいりました。なるほど大繁盛する理由が分かる。
近いうちに鶴の恩返しをしなくては。