096: マイナス思考は人を駄目にするウイルス

2013.10.10

著書「心のしずく」より

※著書「心のしずく」より ~アーカイブ100回連載シリーズ~
※この記事は、平成八年~平成十六年にかけて執筆されたものです。

 ここかしこで、ムクムク、ニョキニョキと薄紅色、萌え黄色、乳白色に新芽が初々しい顔をのぞかせている。柔らかな陽ざしを浴びて、それぞれが、まばゆいばかりの光沢を放っている。いよいよ春だ。生命に清新の息吹きが吹き込まれ、まさに出発に相応しい季節だ。気分を一新し希望に向かって邁進するときだ。この先開花結実するためには、ほとばしるような熱情と気概が不可欠だ。

 人生にあって希望を持つことほど意義のあることはない。希望をもつから魂が磨かれ、生命がふくらみ、心身が充実していく。

 希望のない者は音楽なしに踊るようなものでステップがおぼつかずダンスにはならない。希望は軽やかなリズムをつくり、努力と工夫を促し、生き抜く力を養成してくれる。人を成功へと導いてくれる。どんな時でも決して絶望してはいけない。困難なときこそ希望は勇気の力を与えてくれる。

 さてフレッシュマン(だけに限らないが)に言っておこう。職場は仕事をするところだ。自己実現の最たる場だ。仕事の本当の面白さや楽しさを感じるようになるには、少々の時間がかかるものだが、そこまでに行くには辛い苦しいことの方が多くて当然だ。そういう時に、周りに心の通い合う温かさや親身になって励ましてくれる人たちがいると苦しみも耐えていけるようになる。

 そのためには人に対して自分の行ないを顧みることだ。人に好かれたいと思うなら、先ず自分の方から人を好きになることだ。受け身では何もよくならない。人から与えられるのを待つのではなく、自分にいま何が出来るかをよく考えることだ。

 フレッシュマンにとって、初のお客様に接するときと同じように、職場での第一印象というのは、その先を決めてしまうほどの大きな意味がある。第一印象は、元気で明るく積極的な態度が望ましい。そんなことを言われても、私は内向的な性格なので、それは無理だときめつけないことだ。安心せよ、世の中のほとんどは内向的で、外向的な人は極めて珍しいのだ。

 仕事には自分を変化させ進化させる魔力がある。自分の可能性を掘り起こし磨き鍛え新しい自分を作ってくれる。元気にするから元気になれる。自信をもつから自信ができていく、要は考え方ひとつでいかようにも人は変われる。常に「私は出来る」と念じてやれ、できないと思ったら、すぐさま心のすきまにドドッとマイナス思考が容赦なく入り込んでくる。マイナス思考は人をダメにする最悪のウィルスだ。用心しておけ。

平成十六年三月三十一日