085: 言い放し・聞き放し・言い違い・聞き違い

2013.04.25

著書「心のしずく」より

※著書「心のしずく」より ~アーカイブ100回連載シリーズ~
※この記事は、平成八年~平成十六年にかけて執筆されたものです。

 「よく言っておいたはずだが」、「そこまでは聞いていない」、「こんな初歩的なことは分っていると思ったが」、「もっと分り易く説明してくれたらいいのに」、「質問も意見もなかったが、ほんとうに理解してくれたであろうか」、「メモもとらずに出て行ったが、きちっと頭に入っておるであろうか」、「上司から指示されたが、その後いつまでたっても確認してこないが、このまま放っておいていいのかなぁ」、「その後、経過報告に来ないが、あいつは何を考えておるのだろうか」
 言い放し、聞き放し、言い違い、聞き違いは日常茶飯事、よくあることだ。コミュニケーションは大事な仕事のひとつだ。理念や方針にのっとり組織が機能していくためには必要不可欠のものだ。コミュニケーションには、報告、連絡(指示伝達)、相談、確認がある。
(1)報告
 報告は義務だ。先ず悪い報告ほど速くしなければならない。迅速に対応することによって、傷口を最小限にとどめるためだ。報告は自分から進んでしなければならない。言われてからでは遅いのだ。指示命令されたことが、いまどのようになっているのか、その進捗状況を要領よく説明することだ。
 先ず事実に従って、結論→理由→経過の順序で、その上に自分の感じた意見をそえることだ。そのとき指示された内容と結果を対比し、数字や根拠などの客観的事実を示し、その次に能動的、積極的な質問、意見を伝えるといい。
 報告とは自分の仕事ぶりや、成果と共に上司より評価を受ける姿勢で臨むことにほかならない。また報告は一つの終りであり、次につなげる始まりだ。
(2)連絡(指示、伝達)
 相手にメモをとらせ復唱させる。言い違い、聞き違いが防げるから、出し手も安心だし、受け手も確認ができる。このとき指示命令は一方通行ではなしに、双方向がいい。受け手もただ聞くだけではなく、それに対して建設的な意見や質問が出るとコミュニケーションの質が高まる。
(3)相談
 知識や経験の不足こそコミュニケーションで補うことができる。困ったこと、分らないことは聞いたらいいのだ。その目的、内容を明確にし、教えを乞うことだ。
(4)確認
 報告、連絡、相談が上手くいくか否かの重要なポイントは確認だ。特に連絡においては、その間に二人が介在すれば、半分以下にその精度は落ちる。
 以心伝心、あうんの呼吸は最高のコミュニケーションだが、そのレベルは、はるかに遠い、高い世界だ。

平成十五年四月二十六日