066: 夢は持ち続けてこそ実現できる

2012.07.10

著書「心のしずく」より

※著書「心のしずく」より ~アーカイブ100回連載シリーズ~
※この記事は、平成八年~平成十六年にかけて執筆されたものです。

 夢はもちつづけてこそ実現できる。ただしその前に描くことから始めなければならない。いかに大きかろうが描く夢は無料で無税だ。夢の実現に向けて挑戦していくとき、その先に様々な困難にあっても先刻承知のはずで、いちいち右往左往することではない。
 どっしりと肚を据えて、やり抜く覚悟があれば人が思うほど苦労は感じない。むしろ無我夢中の頑張りが苦労を楽しみや充足感へと変え、言わば夢三昧の境地にさえひたらせてくれる。寝ても醒めても、いつの日にか実現したときの自分の姿や周りの様相をありありと思い浮かべていると泉のごとく希望と勇気が湧いてくる。
 この頃社長ラウンドにて、異口同音に僕は○○を得たい、○○になりたいというような願望の話がでる。願望をもつことは大いに結構であるが、その実現となる果してどうか。
 ほんとうに実現していくというのは「たい」ではなく「する」でなければならない。「たい」というのは“できたらいいがなあ”程度のもので、はじめから願望のなかに逃げや甘えが同居しているように思えてならない。
 それに比して「する」というのは、そこに継続的で強固な意志と実践が働く、明確な目標があるから、途中でいかなる障害があろうが、必ずやり抜くという信念をもとに、歩を前へ進めることができる。また、ひたむきな姿勢は必ず人の心を打ち、有り難い協力を得られるようになる。自助自立があってこそ支援協力がいただける。
 さて、仕事を高めるには創意工夫を重ねて、絶ゆまない改善を図っていくことが肝要だ。そのためには常に問題意識をもつことだ。「これでいいのかなあ、もっといい方法はないのかなあ」と。
 人間、頭がお留守になると、思考や主体性がなくなり、仕事に使われ、やらされ、流されて、知恵や配慮はおろか、挙句の果ては自分まで見失う。意義目的をもたなければ楽しくもないし、喜びや、やりがいを見出せない気の毒な人になってしまう。たとえ部署や職場を変わろうとも。
 いまの自分の職務が何のためにあるのか、どう他に関わっていくのか、さらに何を目ざしていくのか、そのためには何をどう改善していくのかを常に考えていなければならない。そう考えてする仕事は限りなく面白くなっていくし、自信がつき、周りから厚い信頼をいただける。
 目を醒ませ、生き方考え方を間違えると人生が大損する。

平成十三年十月一日