058: 商道も人道も道は同じ

2012.03.10

著書「心のしずく」より

※著書「心のしずく」より ~アーカイブ100回連載シリーズ~
※この記事は、平成八年~平成十六年にかけて執筆されたものです。

 二〇〇一年元旦 新世紀明けましておめでとうごさいます。二〇世紀から二十一世紀へ新しい歴史の時をまたぐことができることに格別なものがあります。この新世紀が希望に満ちた平和と繁栄への旅立ちにならんことを切に希望すると共に皆さんが健康で幸多からんことを祈念するものです。
 さて新しい門出に際して、これまでの自省もこめて、いま痛切に思っていることを挙げてみた。
・「善行は砂に書かれ、悪行は岩に彫りつけられる」といわれるように、善い事はすぐ忘れられるが、悪い事は目につき易く、いつまでも消えないものだ。
・「罪を憎んで人を憎まず」というがその境地になれるのは至難の業だ。実際に被害にあった人、騙された人、裏切られた人の心の傷はそう簡単にいやされるものではない。だから罪を犯した人は孫子に至るまで、いつかは必ずその代償を支払うことになる。世の中の仕組みとはそういうものだ。しかし、最も大事なことは過ちをいつまでも改めないことこそ、大きな過ちであることを銘記しておかなければならない。
・自分に甘いからというて人を甘くみてはいけない。いつかは手痛いしっぺ返しをくうことになる。
・人に物事を世話するときは、上手くいかなかったらその責任は自分からとる覚悟がなければならない。信用とはそういうものだ。
・世話になったら死ぬまで忘れるな。そうでないと孫子までが浮かばれなくなる。
・はじめの有り難さは何処へやら。それに狎(な)れきって当たり前のように思う貧しき心の空恐ろしさ。
・人に言われてからやるのと、自分からやるのとでは大違いだ。
・人さまはなかなか変えられない、だから自分が変わった方が楽だ。
・いつも果してこれでよかったのかと自問自答する人は限りなく向上する。
・懸命の努力は決して結果を裏切らない。
・力の出し惜みは自分の可能性を自分から摘むことに他ならない。
・目先のことばかりにとらわれると肝心なことを見失う。
・人の大小はみる人の大小によって異なる。
・いつまでも心に残る名勝負とは称えるべき敗者がいることだ。
・「交わる友を見て、その人柄を知る」、いい友をもて、その為には自分がいい人に。
・「是は是、非は非」とけじめのできない人が、人の上に立つほど哀れで不幸のことはない。
・商道も人道も道は同じ。常に人間として正しいかどうかが根本だ。いい人たちがいい社会、いい会社をつくっていく。

平成十三年一月一日