035: いい田づくりはいい心配りから

2011.03.25

著書「心のしずく」より

※著書「心のしずく」より ~アーカイブ100回連載シリーズ~
※この記事は、平成八年~平成十六年にかけて執筆されたものです。

 さぞかし皆さんには、固い決意と新しい希望に胸をふくらませていることと思います。有難いことに、生きている限りは、誰しも平等に、毎年新しい年を迎えることができるが、今年こそはいい年にしたいと願うなら、一時の気分屋的なことではダメで、それ相当の覚悟と綿密な計画、果敢な実行力が伴わなければ、実現は到底かなわない。
 一月は新年のスタートとなる、大事な月だ。何事も初めが肝心で、その良し悪しでこの一年が決まると言ってもよい。その意味で、地についたしっかりとした足でスタート台に立って欲しい。
 さて、常備配置薬の配置販売の仕事は地道にコツコツとお客様の信頼を勝ち得ていく業だ。信頼こそ配置の原点だ。健康相談、商品説明、新陳代謝、整理整頓等々の業務を通して直にお客様と全人間的なふれあいをしていく業だ。そこには、一円のお客様も一万円のお客様も、お客様には少しも変わりはない。皆、大事な大事なお客様だ。いかなるお客様であろうとも、常に親切、ていねいに様々な要望に応えていくことだが、さらにもう一歩先んじて、心底より喜んでもらえるような、“何か”がなくてはならない。
 その“何か”とは出来合いのマニュアルや定型的な枠を超えた、その時々の、お客様にとって思いも及ばないような、心嬉しい温かい心配りのことだ。心配りとは何とかお役に立ちたいと、目、耳、鼻、全身、全神経を傾注した時に出来るものだ。そのことがお客様に深い感動と感謝を呼び起こし、厚い信頼を築けるのだ。まさに、常備配置薬の配置販売は心を置く業だ。
 そして配置の基本は配置薬だ。配置薬は米、その他はおかずだ。あくまでも米が主食でおかずは副食だ。その大事な、大事な主食の米は、一軒一軒のお客様という田づくりに丹精をこめた時に、実り多きものとなる。いかなるお客様も、常に唯一の最上のお客様と心得て接する時に、自ら最上のお客様となって応えてくれる。いい米づくりはいい田づくりから、いい田づくりはいい心配りから。
 いい皆さん、いいお客様と共に、いい年にしよう。

平成十一年一月六日