033: 忍耐や苦労は神の試練
2011.02.25
※著書「心のしずく」より ~アーカイブ100回連載シリーズ~
※この記事は、平成八年~平成十六年にかけて執筆されたものです。
「泣いたら負けや」と私の好きな言葉をタイトルにされた本の中で、服飾評論家の市田ひろみさんが、こんなことを述べている。
「私が仕事人として面白くなりかけた頃、まだ時代は男女平等ではなく、女は学校を出たら嫁にゆくのが普通と思われていたのです。昭和四二年に『はい土曜日です』という関西テレビ系の全国ネットで『きものコーナー』というレギュラーを持ち始めました。たまたま私の仕事がめずらしかったらしく、雑誌や新聞などで、とかく目立ちました。三〇年近く前のことですが出る杭は打たれるの類です。泣いてばかりいました。まさにいわれなき中傷です。そんな時、母は『泣いたら負けや。くやしかったら見返したらよいのや』苦しみの中から、自分に力をつけたら私を今嫌っている人も、きっと理解してくれるのではないか、そう思って勉強しました。耐えることは強いエネルギーとなります。今では私を支えた人も、いじめた人も両方が私を育ててくれたと思える年齢になりました」 と。
「泣いて勝てるんやったら苦労せんは、今の忍耐や苦労は神様が私を本物の人間かどうか試しているのや。だからおめおめ負けるわけにいかんのよ。それどころか、その辛い境遇を決して恨みに思うのではなく、反対に私を育ててくれる絶好のチャンスだと感謝するような気持ちにならんと一人前にはなれんのよ」 という風に聞こえてくるようだ。
話は変わるが現在小売業全米NO1(世界一)のウオルマートと並び称される全米で躍進中の百貨店ノードストロームの販売員さんの商いについての心得の一部を紹介しておこう。
・私たちがここにいるのは「奉仕と親切」のためです。
・どの顧客に対しても特別な人、VIPとして接客します。
・すべての顧客は将来の上客になる。
・顧客がさらに顧客をつくる。
・自分が全力を尽くしてやったことは自分のもとに戻ってくる。
・他人に奉仕することほど高尚な信仰はない。
・多くの人々の福利(喜んでもらうこと)のために働くことは最も偉大な信仰である。
実に素晴らしい。さすが伸びるところは違うと感嘆して済ますことはない。
一つひとつまねをしよう。そのうち本物になってくる。
平成十年十月三十日