021: お客様は大切な師

2010.08.25

著書「心のしずく」より

※著書「心のしずく」より ~アーカイブ100回連載シリーズ~
※この記事は、平成八年~平成十六年にかけて執筆されたものです。

 「さらなる飛躍、たゆまぬ挑戦」をスローガンに新たなる創業がスタートした。思うに現況は最低だからもうこれ以上は下らない。あとは上るだけだの、夢多き発展途上国だ。これから社の内外ともやるべきことは山ほどあるが、その一つひとつのテーマは進歩発展のための希望の種子なのだ。
 とにかく真直ぐ前を向いて一歩一歩進むのみだ。
 そこでそれを推し進める原動力は業績しかない。業績が総てを解決してゆくもとだ。その業績を上げるのは、偏に一人ひとりの役職員の双肩にかかっている。つまり、自分の職務を全とうするプロ意識だ。
 いま、特に心していることは、人づくりの観点からも、これまで以上に、一人ひとりの日頃の姿勢や考え方、過程や出来ばえに冷徹な注視と深い関心を払わなければならないし、見直しも必要だと考えている。今一度、社の存立基盤である「健康づくり、幸福づくり、人づくり」の経営理念を身体で覚え、各自の信念と良心に従って、責務を着実に果たしてゆくことだ。それをやらずにして明日を語る資格もないし、存在すらない。
 わが社のPB商品はまさに経営理念を具体的に表わし作ったものだ。どこにも負けない、「高品質、ロープライス、高安全」にこだわり、深い思いを込めてつくったものだ。さらにそれを駆使する「トータルヘルスケアー」はとりわけ先見性の高い、優れた戦略だと自負している。
 さて商品は心で売るものだ。心とは少しでもお役に立ちたい、何とか喜んでもらいたい、よくなってもらいたいと言う素直な思いであり、熱い願いのことだ。そこには常にありがとうと言ってくれるお客様の笑顔が自然にありありとイメージとなって浮んでくるのだ。
 言うまでもなく、商品は使って頂いて初めて、お客様のお役に立てるのだ。その役立ち料が売上や利益なのだ。どれほど能書きをたれても使って頂かなければお役に立てないのだ。あたかも、目の前の料理を食べてもらわないでいて、うまいと言ってくれるのを待つようなものだ。
 つくづく思う、営業の仕事ほど面白く、楽しみな、価値の高いものはない、と。心、人柄、知識、技能がお客様に試され、ダイレクトに正直に、その反応が返ってくるからだ。
 だからお客様はただ単なる購買者ではなくて、いろいろのことを直接に教えて下さる、大切な、大切な師だ。

平成九年八月三十日