019: Do first think later
2010.07.25
※著書「心のしずく」より ~アーカイブ100回連載シリーズ~
※この記事は、平成八年~平成十六年にかけて執筆されたものです。
新卒予定者の役員面接にたずさわるようになってから、もうかれこれ二〇数年にもなるが、私が面接官として学生を観るとき、基本的な尺度として変えられないものがある。
それは人柄や人間性そして生き方である。
近頃は面接試験に関するハウツウものが書店には所狭しといっぱい並んでいるが、所詮、それはごく標準的なマニュアルであったり、テクニックであって、実践にはなかなか通用するものではない。
面接試験は生身の人間と人間のぶつかり合う真剣勝負の場だ。会社にとっては、何よりも高い大事な買い物をするのであるし、一方、学生にとっては、これからの貴重な人生を共にするに適合しい会社であるかどうかを見極め、判断しなければならない。言わば見合い結婚みたいなものであるから、これからの長い先を考えると、できるだけありのままの自分の地を出した方がいい。ハウツウものを読んだり、勉強をして臨むのもよし、また一切勉強せずに臨むのもよし、どちらでもよい。要は、限られた時間の中で、自分の人となりやら思いを爆発させ情熱でもって、いかに面接官の心を焼き焦がすことができるか否かである。
人には言葉や理屈では到底言い表せない、何かその人のもつ雰囲気や姿というものがある。それを面接官として、いろいろと質問を用意して問診をかけ、自分なりの感性を働かせて見抜かなければならないところに、むづかしさがあるが、やはり私ども魅了する人はおおむね次のような人ではなかろうかと思う。極めて当たり前のことであるが。
一.元気よくきちっとあいさつのできる人
二.話が上手下手は別として、自己PRするにひたむきな人
三.素直な人
四.さわやかな人
五.どんなことでもいいが、具体的な目標や夢をもっている人
六.積極的な人
それにしても、ある学生の信条に関する答えは若者らしくて、いまなお印象が深い。
曰く、Do first think later.
平成九年六月三十日