016: 心に愛がなければ

2010.06.10

著書「心のしずく」より

※著書「心のしずく」より ~アーカイブ100回連載シリーズ~
※この記事は、平成八年~平成十六年にかけて執筆されたものです。

 「どんなに美しい言葉も心に愛がなければ相手の心に響かない」という名文句が聖書の一節にある。これと同じように「どんなに素晴らしい商品も心に愛がなければ売れない」。
 物から心の時代と言われて幾久しい。豊かな心、温かい心、思いやりの心、その心を買うというような、お客様とのヒューマンな関係が一層重要になってきた。心がこもった時に、はじめて商品の価値は上がるし、あの人だから、あの店だから買いたいということになってくる。
 心とは何か。お客様の為にお役に立ちたいサービス精神のことだ。サービスとは何か。お客様の潜在的な欲求を掘り起こしたり、要求をいちはやくつかんで満足させることだ。そしてサービスは気くばり、目くばり、心のおきどころによって大きく変わるし高まりもする。
 日常、お客様とのふれあい業をかかげ、ヒューマンネットを広げていく当社はサービス業そのものであるし、それ故にまた人柄や心くばりをする総合的な人間業とも言える。実に奥の深い幅広い仕事であり、まさに心の時代の先端を行く業だ。だから、ふれあい業、ヒューマンネット、心、サービス、人間業の一種の言葉はそのまま当社の現実の姿を表現するものである。
 過日、第二〇期の事業説明会を催した。会場は何か新しい期待と熱いエネルギーに満ち溢れていたような気がする。特に十八名の新任所長、再任重任の所長、そして前任所長が一堂に介してもらった試みには、他ならぬ深い思いがあったからだ。それは社史において第二〇期が大きな節目の株式公開にあたる。
 これを絶好の機会として、社の理念、ビジョン、方針、戦略にのっとり、新旧所長が、それぞれ主役、脇役となり率先垂範して“戦う軍団、燃える軍団”と化し、活力ある会社づくりを目指して行こうとする誓いの場なのだ。その意味で、新旧所長には切磋琢磨して相互に競い合い、助け合いをし、有為な人材の育成と組織の活性化を図って行かなければならない。そのことが、大目標である全国展開に向けて、新しい営業所づくりの大きな原動力になると考えている。したがって、今回は新所長、とりわけ旧所長には、各人の近い将来を考える上で、その真価を問われることになるが、大いにその期待に応えてくれるものと確信している。
 これからの中京医薬品は内外からの熱い視線を受けて、驚くほどの面白い、楽しい、すごい会社になる。春はその出発に最もふさわしい季節だ。どんな時でも、いつでも大きな夢と希望を抱き続けて、そして心も新たにいざ行かん。

平成九年三月三十一日