008: 元気の基は元気
2010.02.10
※著書「心のしずく」より ~アーカイブ100回連載シリーズ~
※この記事は、平成八年~平成十六年にかけて執筆されたものです。
記念すべきオリンピック第一〇〇回の大会がアトランタで開催された。
「より速く・より高く・より強く」を求めて、世界各国の肌の色が違う選手が一堂に介して精一杯競い合う姿が美しい。選手の真剣な一挙手一投足に、観る人の自分の思いが重なり増幅されて大きな感動を生む。まさにオリンピックは、国家・人種・思想を超えた人類の連帯と強調、人間賛歌の祭典として秀れてふさわしい。
しかしもう一方では世界は貧富の二極化が著しいと国連の報告にある。発展途上国七〇ヶ国で一人当りの所得が六〇年代より低下した。世界の国民総生産はこの一〇年間で四割増えたが貧困の人々は、十七%も増えた。富む国は貧しい国のすさまじいほどの劣悪で悲惨な事実を忘れてはならない。
さて小生職業柄のせいかよく人から「肌の艶がいいですね、元気そうですね、何か特別な健康にいいことをやっているのですか」と尋ねられることがある。
もとより心得るところであるが他人と会う時は、不元気では相手に申し訳ないと思っている。不元気だとその波動が相手に伝わって相手の元気を損う恐れがあるからだ。特に体調の悪い時などは病気見舞いはしないことにしている。
少々体調のよくない時などは、空元気でもいいから元気を出させようと心してするように努める。そうするとこれがまた不思議なもので身体の方がその意に応えてくれて、だんだんと自然に元気が出てくるのである。空元気は元気になる為の誘い水のような働きをしてくれるのだ。
だから本当に思う。元気の基は元気だ。さらにその基の基が積極的な精神だ。
これと反対に消極的な精神(マイナス言葉・くよくよする悲観)こそ健康と幸福な人生にとって最大の敵だ。多くの人は、精神と身体はそれぞれ別物だと勘違いをしているが、本来は密接にして不可分の関係だ。H2とOが合わさって水ができるように、精神と身体が合わさって一つの固体が出来ているのだ。
ところがよく平気な顔をして消極的な言葉を発する人がいる。「なかなか・・・ない」「でも・・・ない」「どうせ・・・ない」身も心も自ら損い害していることを気づかずに。実に愚かで気の毒な事だ。
昔から言霊(ことだま)という言葉がある。発する言葉には不思議な力が宿っているのだ。だから言葉の遣い方にはくれぐれも注意しよう。
「積極的な言葉、積極的な精神こそが健康で幸福な人生をつくる」
ここに偉大なる天風先生の根本の教えがある。
平成八年七月三十一日