007: 人生最大のテーマは自己実現

2010.01.25

著書「心のしずく」より

※著書「心のしずく」より ~アーカイブ100回連載シリーズ~
※この記事は、平成八年~平成十六年にかけて執筆されたものです。

 毎年、毎回私がセミナーで学生諸君に強く訴え続けてきたこと、又私の話に共鳴共感してくれたことが、三つある。
 その一つは、人生の最大のテーマは自己実現にあること。自己実現のために絶えず自分を変革し続けてゆくこと。それは古い自分の過去に訣別して、これからの新しい自分をどうつくり変え続けてゆくかの生き様にある。その最も重要なキーワードは自分の可能性と創造性を自ら信じる五つの文字に尽きる。「私はできる」「私はできる」と。
 その二つは、経営理念「健康づくり 幸福づくり 人づくり」である。言うまでもなく経営理念は会社の存立基盤だ。これをもとに日々、経営の創造発展をはかってゆくのである。ところがもう一方の個人の人生理念(信念)はどうであろうか。人生経営の大事な存立基盤であるはずなのにどうもはっきりしていない。よって立つ理念がないから足下は定まらず、とても夢や目標をもつどころではない。糸の切れた凧みたいにどこへ飛んでゆくのか分からない。うまくかみ合わない歯みたいに結局は消化不良を起す。辿る道はおのずと衰退の道だ。実に情けなく哀れなことだ。会社も個人も等しく理念があってこそ希望の実現へと向うことができる。
 その三つは自分をよく生かし、他人からもよく生かされる人生は素晴らしい。自分の持てる力を十分に生かして一生懸命になると、その様を見て他人も一生懸命になって支えてくれる。
 さて、一年や二年で辞めてゆく人の理由の多くに「この仕事は私に合わないから」「上司とうまが合わないから」というのがある。断言しておこう。もともと自分にピッタリと合う仕事などはじめからないのだ。先ず自分から会社や仕事に合わせる工夫と努力をして、実力実績をあげた後に周りが認めるのである。一年や二年で合う合わないの段階でも立場でもないのだ。そんな奴に次の会社に行っても合うわけもないし、合わせてもくれないのだ。結局不平不満を抱きながら、あげくの果ては心身を損ない、貴重な一生を台無しにする。間違いなく敗者の人生を歩むことになる。
 一方、三年 五年以上勤めて辞める人は、会社に仕事に合わせよう、なじもうと懸命に努力したのに、上司の方に力がなく、その人をうまく生かせなかったと申し訳なく思うところである。いずれにせよ、仕事を転職と考えるか、それとも天職と考えるかでは天と地の違いがある。
 やはり、考え方、心構えひとつで仕事と人生の良し悪しが決まるのか。

平成八年六月二十一日