思うままに No.182
2011.02.01
※エッセー「思うままに」より ~毎月更新~
タイガーマスク現象が全国あちこちに飛び火してメディアを連日にぎわしている。荒んだ世相、暗いニュースが多いなか、こういった善意の行為には心が温まる。嬉しくなる。
アメリカでは慈善運動は盛んと聞くが、日本でもこういった社会現象が一時のブームに終わらず広く蔓延して定着するといい。さらにマネをする人がどんどん増えて日常茶飯事になるといい。だからと言って履き違えて、ねずみ小僧次郎吉になると頂けないが。
このような時こそメディアはこういったニュースを積極的にとり上げて社会を明るくするための盛り上げ役を是非ともお願いしたいものだ。さらに進んでその行き着く先がニュースにならないぐらいにごく当たり前になっていけば何と素晴らしいことか。
思いもよらない素敵なプレゼントに子供たちの喜びの様子が手にとるように伝わってくる。この感動の体験が感謝の心や思いやりの心を大きく育んでいくに違いない。幼心に刷り込まれたこの思いはやがて大人になっていくときに、具体的な行動となって慈善の輪を広げていくことに期待をしたい。
タイガーマスク現象はその意味でも計り知れない社会教育の効果が高い。重ねてメディアはこれを助長、啓蒙すべき社会的使命を担っていくよう願うところだ。また寄付行為が広く社会に浸透、定着していくためには税制の面から見直しをする必要があるのではないか。
あくまでも憶測ではあるが伊達直人さんことタイガーマスクはいわゆる富めるお方ではないと思う。むしろそんな境遇に身をおくお方だからこそできる業ではないか。その上で我が身を削っての行為に意味がある。これは正に陰徳の業だ。一隅を照らす善意の行為はまた感謝の心を育む。
人間社会を支え、潤わせる大もとは感謝の精神にある。そしてその向こうに幸福がある。有り難う、お蔭さま、お互いさまの精神なき社会は空虚だ。忠告してもらう。教えてもらう。叱ってもらう。ものを頂く等々人さまにしてもらうことは数々ある。また自分では気付かない、見えないところで支えられ、助けられていることははるかにもっと多い。常にそのことに感謝の心を持ち続けることで、あるべき人としてのよって立つ瀬が得られる。
あちこちの街のイベントや遊歩道で思い思いのタイガーマスクのパレードがくりひろげられる様が目に浮かんできそうだ。