思うままに No.232
2015.03.31
※エッセー「思うままに」より ~毎月更新~
ソフトバンクの監督に就任した工藤さんの打ち出した基本方針には大いに共鳴共感した。溜飲が下がる思いだ。プロ野球のファンのひとりとしてこういう監督がいつ現れるかと長く心待ちにしていた。
その方針とは次の通りだ。プレー中にはガムをかむこと、ツバをはくこと、耳輪や茶髪などの髪を染めることは一切禁止。選手は決して特別な人ではない。職業人としてお客様にはいささかの不快感、違和感を与えるようなことがないよう配慮することだ。お客様には様々な感性や考え方があることを忘れてはならない。ショービジネスとして選手の一挙手一投足のプレー振りとその中味を観て下さっていることを念頭におけということであろう。
またプロである以上、〈仕方がない〉、〈できない〉、〈言い訳〉等のマイナス言葉はチームにも自分にも害があって利なしでこれも厳禁。というように選手のモラル、姿勢、規律を徹底し、優れた職業野球人を目指して風土と意識改革を図っていく決意の表明だ。
プロ野球は永く国民に愛され親しまれているスポーツだ。とりわけ青少年たちへの夢と希望と勇気、胸を打つ感動感激を与えてくれる、素晴らしいスポーツであることを、またスポーツマンシップはあくまでも全力をもってしてのプレーで体現せよということか。それ故にプレーで魅せる選手の身だしなみやふるまい、言動は社会のお手本にならなければならないという監督の強い念いが伝わる。
技術技量を磨くことは当然のことだが、その前に姿勢を正し、品性や心を高めることがチームの品質価値向上につながるという志が根底にあるのであろう。こういう監督のスピリッツと見識による指導のもとソフトバンクは最良のチームに育っていくものと大いに期待したい。
さて中期経営計画が策定されそれに基づいて今期がスタートする。そのタイトルは「企業価値向上に向けて、事業の成長・経営管理・変化対応力を高め、強い企業体質を作る」である。これをそのまま企業という文字を人に置き換えてみたい。「人の価値向上に向けて、人の成長・人生の経営管理・自分を変えていく力を高め、強い人を作る。」となる。
つまり企業価値向上も人の価値向上も同根ということだ。常に目的実現に向けて、強い念いを持ち、日々の事業活動を通して自分をより高めていくことに尽きる。たゆまない持続が物心両面にわたって豊かで実りあるものにしていく。
〈何のためにやるのか〉、〈できない理由よりできる方法を〉、〈やらされるのではなく自らがやる〉、〈決めたことは何があろうが、諦めない、逃げない、とことんやり続ける、やり抜く〉。そんな中京スピリッツを皆で切磋琢磨して育んで行こう。