思うままに No.231
2015.02.28
※エッセー「思うままに」より ~毎月更新~
おかげさまで本年70の齢を迎えることができた。ついこの間たまたま身長を測ってみたところ、あろうことか174cmで0.6cmも伸びている。計測器が狂っているかもしれないと思いつつも何となく嬉しい気がする。
振り返ってこの仕事19才(大学2年)より始めて51年目に入る。あっという間に過ぎたように思う。飽きもせず苦労もせず、周りから見放されもせず、どうにかここまで来られたことこれ以上に幸せなことはない。
改めて陰に陽に支え助けて下さった多くの多くの人たちの力添えを頂いたからこそ今があると思うほどにふつふつと感謝の念が湧いてくる。またその間、間違いも多々あったろうに、それを許容し励ましを頂いたり温かく見守って下さったことを忘れないようにしないと罰が当たる。
これまで自分なりにしてきたことが二つある。自分は凡人であること、何のとりえもないが故に、それ相当の努力をしなければならないと自分にいいきかせてきたことと、もうひとつは弱いが故に、カベにつき当たったときには「これしきのことで負けてたまるか」と自分が自分に笑われないように叱咤激励をしてきたことか。
さて誰しも人には人の役に立ちたい、喜ばれたいという思いをもつものだが、その前に人は人に認められたいという願望をもつ。認められてはじめてまた頑張れるし、さらに役に立つよう高みを目指していくことができる。この認められるか否かの最大の問題は言葉でなく行動いかんに尽きる。
日常社会の様々な営みはすべて約束によってことは運ばれている。たとえ口約束であろうといったん約束をしたら行動をもって示してこそ認められる。またその積み重ねによって人生の大財産である信頼も生れる。
話は変わるが小生と50才も違うアスリートの言動には感銘が深い。銀盤の歴史にその名を刻むフィギュアスケートの羽生結弦さんにはとても20才とは思えない凄さを感じる。
「自分の弱さが見えたときは、自分が強くなろうとしているときです。もっと強くなりたいと思うからまた一生懸命練習ができる」と、これまで打ち立てた数々の素晴らしい記録はもとより、常に高みを目指すこの人は王者の威厳に加えてこれから先々どこまで伸びていくのか。あの甘く優しいマスクからはとても想像できない飽くなき挑戦心と逞しさには驚かされる。
叶うなら直接尋ねてみたいものだが、余人には分からない何か大きな秘めたる目的をもっているに違いない。その実現のための通過点として各大会での優勝という目標を課して日々の練習に励んでいるに違いない。
目標はつねに目的に従う。一つひとつの目標達成が目的の実現に近づく。いかなる時も確たる目的をもって実践し続ける人は何と美しくも強いことか。