思うままに No.230

2015.01.31

エッセー「思うままに」

   

※エッセー「思うままに」より ~毎月更新~

 お客様と直に接する営業マンは常に社の代表であることを念頭におかなければならない。良くも悪くも社の評価を誰よりも真っ先に受ける人だ。新人であろうがなんであろうが少なくともお客様はそのような目で観ている。自分もお客の立場にあるときは当然そのようになる。

 お客様は商品を購入しようとするとき商品うんぬんの前に売る人の品定めをする。この人はほんとうに私のためにと思って勧めてくれているのか、それとも自分の成績を上げるために売りつけようとしているのかを。

 お客様はいつも信頼というものさしで腹の内で計って決める。営業マンはもの売る前に先ず自分を売れというのはこのことだ。自分を売るというのはつまり誠実さを買ってもらうことを意味する。

 だから古今東西商人は先々のことを考え、命をかけてでも最も大事にするのが誠実という信用の一文字だ。信用を築くのは物でも金でも肩書きでもない。すべて人品人柄に帰する。その絶対条件は誠実さであり、いかなる約束もした以上はきちんと守ることだ。信用信頼はこの積み重ねによってつくられる。

 「あの人の言うことだから買った」「あの人だから貸した」「あの人だから任せた」というように信用は目には見えないが金品以上の担保力がある。私の念いは、経営諸表には表れないが、多くの人から信頼される愛される人という資産をいかに多く、つくり上げていけるかにある。このことが企業の存続と発展には極めて重要なことと考えている。

 さて最前線で活躍する花形の営業マンは社の顔であり、動く強力な広告塔だ。「羊頭狗肉」という言葉にあるように羊の頭を看板にかかげてその中味は狗の肉を売るような偽りがあってはならない。

 また営業のみならず日常の様々な物言い、約束事もすべてこれに当たる。人間はダマされることにより失う物以上にその受ける心の痛みのほうがはるかに深い。心の傷は容易には回復しない。私たちはビジネスマンとして、またその前に人間として常に信用という看板を背負って生きている。これは社会の不文律と言っていい。

 誠実は信用信頼の産みの親、育ての親である。誠実は能力や技術によるものでもないし一円の金も要らない。その大切さが分かれば誰でもそのようになる。人間としての良心や真摯な思いから自ずと湧き滲み出る。

 私たちは健康と幸福を売る仕事だ。信用を第一に誠実を旨としてその為の有用な人を育て上げていくことが求められる。まかり間違っても不心得は喜びを売るどころか逆に怒りと恨みを買うことになる。よく生きる上で何よりも誠実に勝る知恵はない。