思うままに No.207

2013.02.28

エッセー「思うままに」

※エッセー「思うままに」より ~毎月更新~

 人間ちょっとばかり上手くいくと、さも自分のみの力でそうなったのだと有頂天になる勘違いもはなはだしい。図に乗ってはいけない。陰に陽に周りの関係する多くの人たちの協力があったればこそと肝に銘ずべし。
 物事が成就する要因のうち一、二割は自分の力によるものであろうが、八、九割は他人様によるものだと思って間違いない。そういう謙虚な気持、有り難い感謝の念がなくなると、その先、取り返しのつかない、どうにもならない人間に成り下がる。常にできたらおかげさま、できなかったら身から出た錆というように本心そういうふうに思うようになったら、おのずと周りの人は放っておかない。
 有形無形の信頼、協力を頂いて人間益々伸びていく。この思いが周りに伝播波及していったら何と素晴らしい、うるおいのある風土になっていくことか、そして厚い信頼の絆で結ばれる組織になっていくことか想像するだけでも楽しくなる。有り難いなあ、幸福だなあと実感できるというのはこういうことだと思う。
 また世の中、上には上がいる。どう逆立ちしようとも追いつけない凄い人たちがいる。この人たちはおしなべてみな謙虚さと向上心のかたまりみたいな人たちだ。同様にこの人たちも上には上がいると常に考えている。自分が頂点にいるなどという思い上がりはつゆだに思わない。だからこそ限りなく進歩成長を遂げていく。
 あの人のマネはとてもできない。あの人だからできるのであって自分にはとてもできないと多くの人はあっさりと諦める。自分の可能性を自分から放棄する。肝腎の自助努力を棚に上げて。あの人に近づきたいなら少しでもマネをしたらどうかと思うがそうにはならない。
 この実はもともとマネして向上していこうとする気持ちなど毛頭ないのだ。思い出したようにたまにはあの人のようにできたらいいなあと願望らしきものをもつこともあろうが、やり続けやり抜く意思がないから行動に移れない。そうして徒に進歩成長のない月日が過ぎ去る。
 野球少年はイチロー選手、松井選手に憧れる。彼らも王、長嶋に憧れたことであろう。ただ彼らの非凡なところはただの憧れに終わらず、イメージを重ねながら、本気本腰を入れてやり続ける血の滲むような努力をしたからこそ超一流の選手に成り得たのだ、まさに努力する天才たちだ。
 皆誰しも大きな可能性を秘めている。その可能性を現実のものにしていくにはいま自分の持ち味、長所、美点は何か突き詰めて自分に問いかけてみるといい。それが目指すものに向けての突破口になる。
 自分らしく自分なりに自分のできる最善を尽くすほど美しいものはない。