「僕も写真を撮って」
小さい子供たちが、無邪気に集まってくる。
写真が珍しいのか、すぐ確認できる
デジカメで撮った画像を見て喜んでいる。
「遊んで、遊んで」と寄ってくる子供の中に
もぞもぞしている少年がいた。
一緒に遊ぼうと話しかけると、
最初は話しにくそうにしていたが、口を開き始めた。
「津波で家族、親戚合わせて5人が死んでしまった。
僕は、悲しい。すごくダメージを受けている」という。
僕は、言った。
下を向いていちゃダメだよ。
上を向いて笑って一緒に遊ぼうよ。
きっといいことがあるから。
少し、微笑んだような気がしたが、
そっとその場を離れていってしまった。
生後3ヶ月の子供を抱いた若い母親がいた。
『可愛いね。僕にも娘がいるんだよ。
抱かせてもらっていいかな?』と話しかけると
母親は嬉しそうに自分の娘を抱かせてくれた。
そして、こう語った。
「私とこの子はとても幸せ。
津波が来たとき、この子はお腹の中にいたの。
ダメだと思ったけれど、この子を助けなければと
必死で木の上にのぼり、逃げることができたの」
「そのとき怪我してしまったけど」と足を見せてくれた。
何針も縫ったアキレス腱があった。
にもかかわらず、彼女は「私は幸せだ」と、笑って話す。
2人とも違いはあれ、話すことによって、
少しずつ心を開いていくのではないだろうか。
少しは楽になり、助けになったのだろうか?
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