プルワルジョの村では伝統療法の話も聞きました。この村の伝統療法士の方は、独学で、村にある生薬などを用いて行う伝統療法を学び、針治療とあわせて治療を行っています。薬の原材料には2種類の生姜やウコンを使っています。このような伝統療法を用いるようになったきっかけは、伝統療法士の奥さまの腎臓治療を行うためだったそうです。
他にも関節炎や高血圧などにも使用し、最近ではマラリア対策としても多く使用されています。
実はこのプルワルジョの村はマラリアの危険地区ともいわれ、今までに多くの人がマラリアで命を落としました。特に2002年と1955年にはマラリアの大流行があり、およそ1家族に1人はマラリアにかかってしまうほどの被害がありました。
そのとき病院では高くて治療を受けられない人や、家畜のエタワ(ヤギ)を売って治療費に当てる家庭、学校に行くことをやめて働いて治療費に当てる家庭などがあったそうです。
マラリアの病院での治療費は1回200万ルピア(約2万円)必要で、とても高額でした(インドネシアの平均給料が3万円以下)。そういった背景から、伝統療法は安価で続けられる治療として、今日この村ではマラリアやそれ以外の治療に至るまで活用されています。資源のたくさんある漢方薬や針治療を上手く活用していると思いました。
また、病院や村で行われている皮内針治療も見せていただきました。皮内針治療とは、針が5ミリくらいのとても小さくて細い針をツボに刺しますが、中国針といわれる長い針と違い、皮と肉の間に斜めに差し込みます。この皮内針の長所は、中国針と違い1週間くらい刺したままにできることや、この治療を修得できるようになるまでに日にちがあまりかからない、ということがあります。ツボなどのポイントをおさえ、簡単かつ安く治療でき、痛みや疲労が和らぐのであれば、かなり有効な治療だと思いました。 |