村の中を歩いて見てまわっていたとき、一人のおばあさんに話しかけられました。そして、そのおばあさんは言いました。
「ここは私が住んでいた家だが、すべてが崩れて今は何もなくなってしまった」と。
確かにそこにはレンガの山とビニールシートで小さい屋根を作っただけの場所がありました。おばあさんに話を聞くと、25年前に主人を亡くしてからは一人で住んでいたそうです。地震後、家が全壊してしまい、今は少し離れた村の息子の家に住んでおり、ときには近所の家にも泊めてもらっているそうです。
「なぜか息子たちには援助がきているのに、私のところには援助がきていない。しかし、国や政府(行政)に期待はしていない。私には近所の人たちの手助けがあるから大丈夫」
「今回、日本からお客さんが来ると聞いて、息子のところから楽しみにやってきた」
そう言って、おばあさんは何度もうれしそうな笑顔で握手をしてきました。
このおばあさんは、今でも伝統的なお菓子を村の人々と分担して作っていました。それで生計を立てているそうです。このお菓子は夜に作り、市場や町へ売りに行くそうです。1日で2000ルピア(約23円)ぐらいの稼ぎだそうです。今回たまたまお菓子を町に売りに行っている時に地震が起こり、家は倒壊したものの、ケガを負わずにすんだそうです。
このおばあさんと別れて、次の目的地へ移動する途中に小学校を見つけました。インドネシアの小学校は、日中暑いため、普段は朝6時30分頃に始まり、昼12時30分には終了します。しかし、中には倒壊の恐れがあるためか、テントを張って緊急用の教室として使用している学校もあり、現在は朝と夕方に分けて授業をしているそうです。
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