■環境NGO「アニトラ・トラスト」
村の井戸と田植え風景。井戸は直径30mほどあり、とても深い。訪問したときは乾季だったので、あまり水はなかったが、雨季には色の変化している辺りまで水が貯まるということだった。
日本では職業選択の自由があり、個人の努力次第ではどんな職業にでも就くことができる。私たちにとって普通のことが、世界的には普通ではないことなのかもしれない。日本人の多くは、現状に対する不平不満をもち、「自分たちはなんて恵まれていないのだろう」と口にする。
これはこの上なく贅沢なことで、例えばダリットの人々が現状でどんなに望んでも持てない権利を私たちは持っている。ダリットの人々は多くの場合において就きたい職業に就くことはできない。私たち日本人は今の仕事をもっと大切にすべきではないだろうか。
ディナバンドゥ村の子どもたちは好奇心の強い子が多かった。環境の影響か国民性かは分からないが、日本の子供たちとはずいぶん違うと感じた。写真は村の特産品の織物で、村の大切な収入源になっている。
今回訪問した村にある政府の病院。治療費は無料で基本的に入院患者の受け入れは出産時だけという。予防医学がメインの、近隣の村10万人の為の病院で、医師30人程が1ユニット3〜4人で治療にあたっている。1日の患者数は100〜120人で1ヶ月に約30人の出産があるとのことだった。
私たちが訪問した日の朝にも一人が生まれたようで、母親の横でただ眠っている赤ちゃんはとても可愛く、生まれた環境に関係なく、すべての子供たちの未来が明るいものであるように、私は「きずなアシスト活動」を続けることの大切さを実感した。
看護師は田舎の方に出掛けていき健康指導などに当たり、看護師は1人あたり3000〜5000人を担当。また、毎週ポリオ、BCG、DTPといった予防接種のスケジュールが組まれているとのことだった。正直、厳しい財政ながらインドで予防接種などが実施されていることに驚いた。
日本でも近年、医療費が国の財政を圧迫し続けており、予防医学が注目を浴びて来ている。予防医学の観点から見ると、インドの方が日本よりも進んでいるように感じた。自分に置き換えて考えたとき、会社を通して「お客様の健康をサポート」することも、予防医学の一つの形であると思うことができた。
■ARP
今回訪問したもうひとつの団体は「ARP」で、代表者は牧師のフェリックスさん。この活動団体は、歴史上初めてできたダリッドの団体である。
彼らはアンベドガル主義を取り、カースト制度を撤廃することで差別をなくそうとしている。支援の方法としては、お金の貸付や、マングローブの植樹を村の女性にしてもらいサラリーを払う、労働組合を作る、といったものである。彼らの活動の中で最も重要なものが、「土地なし農民運動」という活動であり、様々な理由で親と一緒に暮らすことができない子供たちを寮に住まわせ、そこから学校に通わせ、教育と食事を無料で提供している。
寮に住む子供たちが、私たちのために描いてくれた。インド滞在中はどこに行ってもこのような歓迎を受けた。貧しい生活を強いられる中で、なぜこんなにも他人に優しくなれるのか。コミュニティでの助け合いが色濃く残るのか。インドには私たちが無くしてしまったものがたくさんあるような気がした。
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