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【豊川営業所】 小林成禄
その1 カースト制度〜環境NGO「アニトラ・トラスト」(前半)

貧困とは1日1ドルで生活すること。1日1ドルで何が買えますか?
本当の貧困とは、生活を変えるチャンスもないこと。〜プレム・ジョン〜



■カースト制度

今回インドツアーに参加するに当たり、3回の事前準備会が行われ、私はその初回と3回目の準備会に参加させて頂いた。そこでは「IT企業の急成長」、「最も勢いのある国の一つ」、といった私の印象とはかけ離れたインドの実情を知ることになった。歴史の教科書で習ったカースト制度がいまだに残り、抑圧される人々、カーストの階級によって、婚姻、仕事、居住区域さえも自由にならない、そのような社会構造が21世紀に残っている。これは、私にとって驚くべきことだった。

私が感じたカースト制度の本当の怖さは、完全な縦社会、一生変えることの出来ない階級、代々受け継がれる階級、他のカーストとの婚姻は不可能なことなどである。

■環境NGO「アニトラ・トラスト」

遅めの朝食後、環境NGOのアニトラ・トラスト(以降アニトラ)のハリ・ジョンさんからNGOの沿革・概要を説明して頂いた。この団体はダリットや先住民を対象にタミルナドの2つの州にまたがり活動していることや、以前は人々のニーズに重点を置いた活動をしていたが、現在は人権に重点を置いているといった内容を中心に学んだ。



ダリットには階級が存在する。人糞や尿、動物の死体処理をするコブラと呼ばれる人々の存在を聞かされたとき、私は「人間は何処までいっても優劣をつけたがる生物で、人権問題や日本のいじめ問題の根幹とは、人間の本質的な部分であり、永遠に解消されることのない問題なのではないだろうか。」と感じてしまった。

私たちは現在、さまざまなメディアから多くの情報を簡単に得ることができる環境にいる。しかし活動をしている当事者の生の声がそこに反映されていることは、あまり多くないのかもしれない。彼女の生の声は、とても力強くダリットの現状と問題を明確に示した。

 

説明を受けたあと、アニトラが支援しているスラムを訪問することができた。海外には何回か行ったことがあったが、スラムに足を踏み入れたのは初体験だった。しかし始めてのスラムは、いい意味で私を裏切ってくれた。

 

私の中でのスラムのイメージは、汚い、臭い、活気がない、犯罪、無秩序といったネガティブなものであったが、今回訪問したスラムは、アニトラの支援が入っていることもあり、秩序が保たれている印象が強かった。

 

たしかに日本との比較では不衛生ではあるが、活気は無くはない。犯罪が頻発するという印象も受けなかった。むしろ子供たちの綺麗な目と笑顔が印象的で、これもアニトラの支援の成果なのだと思った。

 

※アニトラの発祥の地、ディナバンドゥ村の宿泊施設(写真左)、責任者のナレンドラさん(写真右)

   
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