• ホーム
  • 採用情報
  • お客様広場・窓口
  • 会社情報
  • IR情報
  • ネットショップ
  • CSR(社会的責任)

CSR(社会的責任)

選択的CSR (社会から期待され事業を豊かにする活動)

社会・環境活動報告

きずなASSIST

「きずなASSIST」トップページはこちら
きずなASSISTの歩み活動原資はお客様活動内容活動記録実録!海外レポート
【商品企画課】 鷹巣孝一
南インド・ラマチャンドラプラム村を訪ねて
落花生畑で働く女性の日給は、わずかコーラ3本分(70 rupee)。
でも、これしか仕事がないという厳しい現実。

■3日目/ホームステイ先の牧師 Mr.Devanesanとともに

インドの未来を担う少年たちの底力
インドの少年たちに驚いたことがあった。ポールもデイビッドも、とても機械に強い。私が彼らにカメラを渡すと、彼らはパシャパシャと勝手に撮りはじめたのだ。
全く何も教えていないのに、彼らは日本の最新型のカメラを使いこなした。(事実、出発前日に買った最新型)

おまけにデイビッドは、日本語でしか表示されていないのに、「消去」の仕方まで見つけて、撮影に失敗した写真を勝手に消していた。 おいおい、間違えて昨日の写真まで消さないでくれよ、と心配になって、それ以降あまり彼らにカメラをいじらせないようにしたが、とにかく、彼らの機械への強さには驚いた。

実は、彼らもカメラを持っていた。おそらく村に一台だけあるカメラだろう。液晶もない旧式のカメラだ。その旧式カメラで覚えた技術を応用したのだろう。

驚いたのは、それだけではなかった。

寝ているデバネーサンをこっそり置いて、ポールの家に遊びに行ったときのことだ。中ではポールの兄が寝転んでテレビを見ていた。日本と同じような風景だったが、そこにはさらに日本と同じように「DVDデッキ」まであった。

突然、ポールが「cardを見せて」と言うから何のことかと思ったら、カメラに入っているメモリーカードのことだった。それを渡すと、ポールの兄はカードをDVDデッキのカード差込口に入れて、テレビで写真を見はじめた。日本の空港や、途中で寄ったシンガポールの空港の写真に見入っている。操作も慣れたものだ。
それに、一枚2MBもある画像データを、これほどスピーディに表示できるこのデッキもたいしたものだ。ポールの家は6畳1間の狭い家で、お金はなさそうなのに、どこでこんなものが買えるのだろう。とても不思議だった。

私が「これ(私のカード)は2GBだ。君のは?」と聞くと、ポールは「One GB.(ワンジービー)」と答えた。これにも驚きだ。1GBのカードなんて、日本でも1,2年前にやっと普及してきたところだ。どうやら、インドも日本も、電子機器だけは同時期に発展してきているみたいだ。

藁と土の家の中に存在する、テレビ、DVDデッキ、1GBのメモリーカード。そして、それを自在に使いこなす村の少年たち。
インドの未来は、「電脳派」の彼らが担っていくことだろう。
仲良くなった彼らは、指に嵌めたリングを、私に一個ずつくれた。


貧困 日給は、たったのPETボトル3本分
午後3時ごろ、少し涼しくなってきたので、デバネーサンを起こして外へ。落花生の畑に来た。女性たちが落花生を掘り起こし、豆と葉を分ける作業をしている。デバネーサンは、辛そうに、私に語った。

「1 day, 70 rupee」

この仕事は、日給70ルピーだという。私はこのときまだ、物価の感覚がなかったが、日本円にすれば140円だということはわかる。では、インドでの物価としてはどうなのか。
後日、私は買い物をしてわかった。PETボトルのコーラを買ったら、25ルピーだったのだ。つまり、彼女らの日給は、コーラ3本分。日本の物価にしても、450円だ。到底、暮らしていける額ではない。でも、彼女らにはこれしか仕事がないのだ。

お金を貰うためには、働かなくてはならない。働くためには、能力skillと、仕事jobが必要だ。彼女らには特別なスキルはないし、この村には大したジョブもない。

今朝までいたARPでは、女性たちにミシンを使った裁縫を教えている。そして卒業時にはミシンがプレゼントされる。ARPの人たちは、スキルが必要だということには気づいているのだ。しかし、まだまだjobはない。
でも、jobは生み出すものだ。スキルから新しいビジネスを起こせばそこにジョブが生まれ、人々のニーズを満たせればお金は動く。そうしてお金が回り回って、そのお金はまるで火力発電所のピストンのように動いて、電気が生まれるように富を生む。

ARPの人々は、それにも気づいているのだろう。
彼らは、今、正しい活動をしている。この活動が、いずれは富をもたらすに違いない。ただ、今を生きる落花生の彼女らが富を手にするには、もっともっと工夫が必要だろう。
私は思う。スキルとニーズがある場所には、きっとビジネスが生まれる。そして、土地の人がビジネスを生む以外にも、方法はあるはずだ。

たとえば、外資の力を借りる。彼らは、DVDデッキを巧みに操るほど、外の文化を利用するのが得意だ。おそらく、外資が参入しても柔軟に自分の物にしていくだろう。
では、外資の力を借りるにはどうしたらいいか。答えは、スキルとニーズにあるように思う。彼らがスキルを身につけ、外国企業に「彼らが欲しい」というニーズを発生させればよい。だから、外国企業に欲しがられるスキルを身につければよいのだ。

もうひとつ大事なのは、欲しがられる土地を持つことだ。インドは、決して綺麗な土地ではないため、現状のままではお金持ちに好かれる場所ではないだろう。意識的にもっと自分たちの住む土地を磨き、清潔感のある住まいづくり、道の整備などをすることにより、興味をもってもらえるかもしれない。

しかし現実、空港から車で何時間もかかるこんな奥まった村では、外の力を取り入れるのは難しい。まずは地元のビジネスでお金を回したり、都市から呼び水(お金)を取り入れたりして、そこで生まれた富で土地を磨く。そのためには、土木、観光・民芸品が効果的だろう。土木は土地も磨かれるし、お金が外に出て行かずに村の中で回る。観光・民芸品は都市からお金を入れることができる。さらに、土木産業で道を整備すればもっとお金が流入しやすくなる。
素人の考えだが、もっともっと工夫して、明るい未来を築いて欲しい。

しかし、カーストから逃れた人である「ダリットdalit」は、インドでは“鼻つまみ的扱い”だ。経済対策だけでなく、彼らは差別撤廃運動もしなければ、都市との繋がりすら持てない。問題は、山積みだ。

予期せぬ、突然の別れ
私は知らなかった。今日は、この村に泊まるのだと思っていた。夕方6時、車に乗るようデバネーサンに促された。また、さっきの落花生畑みたいに、どこかに連れて行ってくれるのかな?とのん気に考えていた。すると、ポールたちが真剣な顔で駆け寄ってきた。「時間がないんだから、寄るんじゃない!」と怒った雰囲気のデバネーサン牧師。「Next Time!」と真摯な顔で叫ぶポールたち。
私はこの瞬間にやっと気づいた。ああ、お別れなのだと。今日も明日も、もうポールたちに会いに来ることはないのだと。ポールたちは「またインドに来たら、来てくれる!?」と堅く握手を求めてきた。私は、約束できず、何も答えられなかった。最後に私は、ポールに本を押し付けた。日本語とヒンドゥー語が書かれている、珍しい本。さっき、ポールが熱心に読んでいた本だ。「時間がない」というデバネーサンの声の中、車は発進した。私は、見えなくなるまで、ポールやデイビッドに手を振り続けた。
覚悟をしていなかった唐突の別れとは、こんなにも辛いものなんだと、その時知った。

デバネーサン一家
かなり車で移動して着いたのは、デバネーサンの家だった。驚いた。彼は別の村の住人だったのだ。さっきのラマチャンドラプラムとは全く異なる裕福そうな村で、彼の家も立派なものだった。家には、デバネーサンと彼の妻・子供、そして隣家には兄夫婦が住んでいた。

デバネーサンの妻の手に抱かれた子は、障害をもっていた。さっきの村でも大勢の方が障害をもっており、その割合は日本より多いように感じる。あくまでも個人的な推測だが、近親婚の影響があるのだろうか……。

デバネーサンの兄、ジョージGeorgeと話をたくさんした。ジョージは非常に頭がよく、英語も上手で、気配りもできる知識人だ。 「You’re Free.ここでは、君は自由だ、リラックスして。私に、君の考えていることを話してくれ。あと、君が何を見たいのか」 ジョージの英語のうまさと迫力に、私はかえって堅くなってしまった。さっきまで英語の単語がかろうじて通じる程度の相手ばかりだったのに。突然、目の前に先生が現れて、問い詰められている感じだ。私は正直に話した。この村はさっきの村よりrichだと思う。するとジョージからすぐに反応が返ってきた。

「この村はvery poorだ。Helpを必要としている。日本に帰ったら、みんなにこのことを話してくれ。そして、弟の力になってやってほしい」と。

とても熱く語られた。その間、デバネーサンは黙っていた。私は夕食をいただいたあと、心優しい妻のサンギータSangeethaや、熱心なジョージと写真を撮り、別れた。

どこに行くのか分からなかったが、またデバネーサンの運転する車に揺られて、30分ほど走った。着いたところは、デバネーサンの実家だった。そして、彼のほかの兄(今はカルカッタに行っている)の部屋で寝た。ここもやはり、裕福な家だと感じた。


■4日目/ホームステイ先およびARP研修所との別れ

巨大湖へ
次の日の午前、デバネーサンが、インドで2番目に大きな湖だというプリカット湖Pulicat Lakeにつれてきてくれた。巨大な湖だった。そこにちょうど、向こう岸から子供たちを大勢乗せた船がやってきて、こっちの岸で子供たちを降ろしていた。どうやら、登校途中らしい。ランドセルのようなカバンを背負っている。
湖は決して綺麗な水ではなかったが、これだけ大きいと感嘆せざるを得ない。大自然。言葉が出てこない。

市場を見学
デバネーサンに連れられ、村の近くにある市場を見学に行った。とても食べ物を扱う場所だとは思えないほど、生ゴミが散乱している。売り物の魚はシートの上に並べられ、気持ち悪いほど大量のハエがたかっていた。売り主の女性たちはそのハエが全く気にならないらしく、何事もなさそうな顔で座っていた。おまけにこの真夏並の気温の中、氷も使わずに魚はどれだけ保つのだろう。私は衛生の専門家ではないが、決して良くはなさそうだ。

デバネーサンとの別れ
いよいよホームステイ終了の時がきた。デバネーサンに、プレゼントのノートとボールペンを渡し、お礼の言葉を述べて別れた。

藁と土の家の中にテレビやDVDデッキ。それらを少年たちは自在に使いこなす


落花生畑で働くラマチャンドプラム村の女性たち。1日中働いてたったの140円



カーストから逃れた「ダリットdalit」の子供たち。余儀なく貧困を強いられる



洗濯は集合水場で手洗いが当たり前の現実。洗濯機を持つ家はまだ少ない



インドで2番目に大きな湖「リカット湖」。大自然の雄大さは感動もの



リカット湖の対岸から木船に乗って学校に通っている子供たち



ダリッド村の近くにある市場を見学。そこら中に生ゴミが散乱している


市場で魚を売る女性。真夏並みの気温の中、魚はシート上に並べられているだけ





   
back  
ページの先頭へ